人事管理こそ経営者の仕事
今の会社で社員やスタッフが数名や数十名在籍していて、
今後拡大させたい人にとっては、今日は少し役立つ内容です。
肩書と実権の不一致
スタッフが数名や数十名いると、そのリーダーや中心人物に、
肩書を与えているケースがあります。
例えば、マネージャーや部長など。場合によっては、
執行役員という肩書を与えている会社もあるでしょう。
その肩書はあるのだけれども、
実際の権限は伴っていないというケースが中小企業には多いです。
部長なんだけど、決裁権は持っていなく、全て社長が決裁しているケースです。
この場合は、事実上は部長ではなく、一般職のような扱いになります。
ただ、肩書や役職を付けておかないと、
営業先や外向けに顔が立たないので、名刺には立派な肩書を付けます。
これは中小企業には、よく見られる光景です。
しかし、会社の売上を上げて、
拡大させていくフェーズになると、それでは限界が生じてきます。
権限移譲の必要性
その限界には、大きく2つがあります。
- 社長の負担過多:
社長が全て把握できずに、それを決裁して良いのか分からないという問題。
または、社長の仕事が稟議書ばかりに決裁するのが仕事になってしまう問題。
要するに、本当に大事な社長業に集中することが出来なくなります。 - 現場の責任者の士気低下:
人がイキイキと仕事が出来るのは、
ある程度の裁量と権限を与えられた時。決められた権限の範囲内で、
自由に仕事ができるのはやりがいです。
それが、裁量も権限もなく、
全て社長の一存で決めるのは、部下も仕事がしづらくなります。
特に優秀な人材は、裁量と権限を求める傾向が強いです。
また、大きな裁量と権限を与えると、バリバリ仕事をします。
そのように人を活かすという観点で考えても裁量と権限は与えるべき。
そうしないと、優秀な人材が、次々と辞めていくことになります。
具体的な権限移譲の方法
このように会社の成長と、権限移譲はセットになっています。
では、具体的に権限移譲とは、どのように進めていくのか?そのポイントをちょっとお話します。
まず、一番大きなポイントは、お金に関わる部分になります。
何かを発注したりする際に、
いくらまでの発注額権限があるのか?その金額を具体的に決めることです。
例えば、会社で100円のボールペンを買いたいというケースがあったとします。
その決裁まで社長がするのか?細かい話ですが、
現場の社員にとっては、非常に大事なことだったりします。
決裁権限の設定と運用
そういう会社で支払いをしている各経費に関して、
誰がいくらの決裁権を持つのかを決めていきましょう。
いきなり最初から大きな金額を設定する必要はないです。
ある程度の金額を仮で決めて、実際に現場で運用していき、
問題点があれば変更するくらいの軽いかたちで始めてみてください。
小さな一歩でも良いから、まず始めることが非常に大事です。
権限移譲の効果
このプロセスを通じて、以下のような効果が期待できます。
- 社長の負担軽減:
社長が全ての細かい決裁を行う必要がなくなるため、
重要な意思決定や戦略立案に集中できるようになります。 - 現場の効率向上:
現場のスタッフが自分の裁量で迅速に決定できるようになるため、
業務のスピードと効率が向上します。 - 社員のモチベーション向上:
権限を与えられることで、
社員が自己の仕事に対する責任感とやりがいを感じ、モチベーションが向上します。 - 人材の定着と成長:
裁量と権限を持つことで、社員は自己の能力を発揮しやすくなり、
成長を実感できるため、優秀な人材が会社に定着しやすくなります。
権限移譲のステップ
- 権限の範囲を明確にする:
まずは各部門ごとに必要な権限の範囲を明確にします。
例えば、営業部門ならば契約額の上限、経理部門ならば支出額の上限など、具体的に設定します。 - 権限委譲の段階的実施:
いきなり全ての権限を委譲するのではなく、
段階的に進めていきます。
例えば、最初は小額の決裁権から始め、徐々に大きな決裁権を与えるようにします。 - 評価とフィードバック:
権限を委譲した後は、
定期的に評価とフィードバックを行います。
成功事例や失敗事例を共有し、必要に応じて権限の範囲や運用方法を見直します。 - トレーニングとサポート:
権限を委譲する際には、適切なトレーニングとサポートを提供します。
社員が新しい役割や責任を果たすために必要なスキルを身につけるための教育プログラムを導入します。
まとめ
権限移譲は会社の成長に不可欠な要素です。
適切な権限を与えることで、社員のモチベーションが向上し、
業務の効率も改善されます。
まずは小さな一歩から始め、段階的に進めていくことで、
組織全体のパフォーマンスを向上させることができます。
権限移譲は難しいプロセスではありますが、
適切に行えば大きな成果をもたらします。
最初の一歩を踏み出し、社員に信頼と責任を与えることで、
会社の成長を加速させましょう。