コンサルティング 「プラスチック=資源」という転換を起こせるか 2020.05.06 いらっしゃいませ! 日本では緊急事態宣言延長が公表され、厳しい状況が続いています。 様々な業界、新しい生活への転換期が求められる中、同様にプラスチックリサイクルの業界も大きな転換期を迎えています。 今の状況をアメリカの例を出して解説し、業界内だけでなく一個人としても今一度考えるきっかけとなれば・・・ そこで今回のブログでは2回に分けて、内容をお伝えしようと思います。 それでは、行ってみましょう。 プラスチックのリサイクルが“破綻”しかけている? 昨今の市場影響で使い捨てプラスチックの利用が激増し、米国のリサイクル業界が破綻状態に陥っている。 もともと厳しい状況にあったところに、使用済みプラスチックの急増と再生工場や回収ラインの操業停止で追い打ちがかかっている。 別の見方をすれば、各種産業の工場などの操業停止の影響でCo2などの温室効果ガスの排出が減少している。 大気汚染には大いに健闘していることにはなりますが、この先に見える未来を想像すると・・・ 「ゴミの山」が出来上がります。 リサイクル業界の3つの問題 第一に、プラスチックは石油製品なので、近年のような原油価格の下落が起きると生産コストが安くなる。 これがリサイクルの経済性を破綻させてしまう。 原油が、つまりプラスチックが安ければ、リサイクル資源を処理して売っても、 別の企業が原油からつくる新品のプラスティックより高くなってしまう。 経済的には、わざわざリサイクル素材を使う意味がなくなるわけだ。 そしていま、マイナス原油価格となり、原油価格はかつてないほどに落ち込んでいる。 第二に、リサイクル可能な素材を大量に中国に売って処理させていたという事実だ。 しかし2018年、中国はプラスチックやミックス古紙(汚れの軽い紙ごみ)の輸入を禁止した。 中国の目的は、自国内のごみ収集システムを構築することでもあったし、 国が他国からのプラスチック原料に埋もれるのを防ぐことでもあった。 もちろん、中国にとってはプラスに働く出来事ですし、必要な施策であったと私も考えています。 いずれにせよ、アメリカはじめ、各国は最大の市場を失ったこととなります。 第三に、ごみの軽量化である。 これは、メーカー(動脈産業)との兼ね合いもあることだが、 リサイクル業者にとっては痛手になる。 例えば飲料水ボトルは軽量が大幅に進んでいて、環境にやさしい。 しかし、リサイクル(静脈産業)業者には、リサイクルをしても、コストが増え薄利となる。 使い捨てプラスチックの需要が30%増 いまでは使い捨てのプラスチック容器が、かつてないほど人気となっている。 ウイルス騒ぎでパニックに陥った人々が、 水の入ったペットボトルのような“使い捨て”するプラスチック製品や、 プラスティックで安全に包装された手指消毒液やティッシュペーパー、 食品などを購入しているためだ。 もちろんこうした人々は、買ってきた製品を消毒用シートで拭く。 その消毒用シートも、使い捨てのプラスティック容器に入っている。 ここでアメリカでの動きを紹介しよう。 ①アマゾンは臨時に10万人を雇用し、 個別包装された製品をさらに配達用の段ボール箱に詰め込んでいる。 ②皿や金属で食事を提供していたレストランも、 いまでは個別包装の料理を入れたテイクアウトの容器を販売している。 その容器を再利用したいと思う人は少ないだろう。 ③サンフランシスコのベイエリアでは、食料品店でエコバッグを使うことが禁止。 レジカウンターに、家からウイルスが持ち込まれないようにするため。 ④スターバックスもまた、 同じ理由でマイカップによる飲み物の提供をストップ(その後、スターバックスは全店舗を休業にしている)。 以上のことからも、昨今では使い捨てプラスチックの需要が大幅に増加している。 さて、前半の内容はここまでとし、次回は上記事例も踏まえた ESG投資、そして個人での考え方について解説していこうと思います。 それでは、いってらっしゃい! Tweet Share +1 Hatena Pocket RSS feedly Pin it 投稿者: 青山力大コンサルティング使い捨てプラスチック, 軽量化, 転換期, ESG投資, SDGs, プラスチック, アメリカ, 資源 2020年2月の廃プラ輸出統計 「プラスチック=資源」という転換を起こせるかPART...