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2022年はプラスチック不足に、調達手段に波紋

1月7日に公開しました記事(2022年廃プラ動向をまとめました)について、

さらに詳しくという内容を知りたいというありがたいご要望をいただきました。

そこで、急ではありますが、追加で2022年のプラスチック不足について

追記していきたいと思います。

1月7日公開のブログリンクは下記になりますので、よろしければご覧ください。

2022年廃プラ動向をまとめました

2022年はプラスチック不足に・・・

2022年は再生プラスチックの需要拡大に原料が不足する年になりそうです。

コロナ禍において、食品トレーなどテイクアウトサービスが充実してきた

2021年ではありますが、昨今叫ばれているプラスチック対策やSDGsにおいて、

社会現象と言われる要因と現場での対応にミスマッチが生まれてきている感覚です。

つまり、現場での需要供給バランスが崩れ始め、プラスチック業界内での格差が

発生していると言い換えても良いかもしれない。

この辺りはお伝えすると、止まらなくなってしまうのでこの記事では割愛しますが、

要は今までのバランスの通りにプラスチック業界に対して原料が行き届かない状況に

2022年はなりそうです。

その一つとして、4月施行の「プラスチック資源循環促進法」は環境配慮型の再生素材を

多く取り入れるよう企業に求めるが、調達が滞る可能性が高い。

日本で唯一リサイクルの仕組みがあるポリエチレンテレフタレート(PET)では、

再生に適した原料を集めるチャネルが複線化し不協和音も生じている。

2022年は特にPET関連についての

循環型経済(サーキュラーエコノミー)への移行のカギを握る課題として注目されることは

間違いなさそうです。

 

ボトルtoボトルの比率が大幅UP

PETは石油由来のプラスチックの一種で、

ペットボトルやポリエステル繊維の原料であることは周知のとおりです。

1990年代から飲料用ボトルの仕様が統一され、

容器包装リサイクル法のもとで使用済みボトルを回収し再生する仕組みが確立した。

再生素材の需要拡大をけん引しているのは、

使用済みペットボトルを再生してボトルとして使う「ボトルtoボトル」。

いち早く取り組んできたサントリーHDでは再生素材の使用比率が22年度中に50%に高まる見通し。

もともと、2030年までに再生資源使用率を高める方針を立てているのだが、

現時点ではかなり前倒しのペースで推移している。

温暖化ガス排出量が減り、

ESG(環境・社会・企業統治)を重視する投資家の支持を得られるとあって、

飲料大手や日用品メーカーが再生素材の採用を急ぐ。

ここでも、ESG投資の概念が出てきましたね。

ただ、急激な前倒し(他社との競合も含む)の影響で、

ボトルtoボトルの方面へPET原料が流れ過ぎてしまっていることが業界内での

懸念として挙げられている。

単純に排出量が決まっているなか、いくらESG投資の影響があるとはいえ

ボトルtoボトルに流れ過ぎてしまうと、そのほか繊維やシート向けの再生原料が足りなくなる。

結果、繊維やシートメーカーは原料不足に陥り、

バージン(新品)の購入をしていく必要が出てくる。詳しい数字は調査が必要だが、

循環経済を目指す中で新たに石油を使用するのでは、本末転倒になる。

ただし、この流れもSDGsや気候変動問題をクリアするうえでは

必要になってくる変化と捉えることもできるため、

関係各所との連携および調整を必須とする内容になってくると思われます。

 

ボトルtoボトルの製造会社の強み

先ほども記載したが、再生PET原料のマスは決まっている。

昨年の21年10月にはスタートアップの日本環境設計の工場が4年ぶりに再稼働しました。

フル稼働しても供給が追いつかず23年末までの生産計画を上回る注文があり原料不足になる見込み。

ちなみに、再生PETの需給が変化する起点となったのは18年の世界経済フォーラムだ。(ダボス会議)

非政府組織(NGO)の指摘を受け、

グローバル企業の経営者が海洋プラスチック問題に取り組むことを約束した。

脱炭素と同時に海洋プラスチック問題が大きな話題を集めたことでも知られています。

 

資本力&ブランド力の強さが見えた波紋

ご存知の方も多いかもしれないが、

自治体が回収した使用済みボトルは日本容器包装リサイクル協会に引き渡される。

使用済みボトルを入手したい事業者は協会が年に2回実施する入札に参加する。

しかし、昨今で波紋を広げているのはPET再生事業者にて

自治体が回収した使用済みボトルを直接引き取る協定を結んだことだ。

(この手法は特に違法というわけではもちろんない)

しかし、自治体にも言い分はある。

容リ協にボトルを引き渡した場合、使用済みボトルの用途を指定できないというのだ。

つまり、協会ルートでない場合は、

各自治体においても、例えば「~~市で回収されたPETボトルは〇〇に再生されている」

とアピールすることもできる。

実例を挙げてみよう。

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22年度から伊藤園が指定するリサイクル事業者に回収済みボトル2千トンを

引き渡す契約を結んだ仙台市は

「市民にリサイクルを実感してもらい、ごみ分別へのいっそうの協力を呼びかけるのが目的」

伊藤園が仙台市内を含む東北で販売する麦茶のボトルに再生して使う。

ラベルには市のごみ減量キャラクターを用いて再生PETを使っていることを記載する計画だ。

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このように自治体からすると安心してメーカーへ提供することができるという仕組みだ。

ここで波紋を挙げたのは、各自治体の処理業者です。

要はもともと、自治体の依頼で中間処理をしていたのだが、

自治体とメーカーが繋がることにより既存の商流から外されてしまう可能性があるためだ。

SDGs的に言うのであれば、「だれ一人取り残さない」という概念と外れてしまっているとも

捉えることができる。(現時点ではすべてを救うことが難しいのは事実だが・・・)

 

今後の大型工場について

最後にざっくりではあるが、最新の再生PET工場の設立についてお伝えです。

現時点では、再生PET工場がない西日本に新設計画が集中している。

①米ナイキ向けの再生繊維などを手掛けるウツミリサイクルシステムズは

自社でボトルtoボトルに参入した。

三菱商事と22年1月から兵庫県、豊田通商とは22年半ばに滋賀県で

提携事業の新工場も本格稼働する。

②セブン&アイ・ホールディングスが出資した2つの新工場も西日本に立地する。

22年2月には協栄産業とJFEエンジニアリング系が共同出資した

新工場が三重県で本格稼働を始める。

もう1つは三井物産が手掛ける岡山県の案件で、不純物の多い「事業系」を原料に使う。

23年度中に操業を開始する計画で、仏環境大手のヴェオリアから最新技術を導入する。

➂23年には遠東石塚グリーンペットの大型工場も兵庫県で開業する。

これらの新工場は使用済みボトルを破砕・洗浄してボトルに再生するメカニカルリサイクル。

※日本環境設計(神奈川県)の拠点は廃ペットボトルを化学分解して不純物を除去する

ケミカルリサイクルを実用化した唯一の工場だ。

これだけ大型工場が設立される直近の動きとなると、

圧倒的に再生PETボトルの必要原料が不足する。

ボトルtoボトル以外の再生PETメーカーの動きに注目する2022年にもなりそうだ。

 

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