「読んでから報告します」は、AI時代の“致命的な遅さ”
「教えてもらった本を読んでから感想を送ろう」
「アドバイスを実践して成果が出てから報告しよう」
昔なら、この慎重さは“誠実さ”として評価されたかもしれない。だが、AIが常識をひっくり返している今、この真面目さこそが機会を逃す最大の原因になっている。
『AI時代に仕事と呼べるもの』の著者・三浦慶介氏は、人がAIに勝てる武器は“可愛げ”だと言い切る。ここで言う可愛げは、生まれつきの愛嬌ではない。人の協力を引き出し、チャンスを引き寄せる“技術”のことだ。
そして、その技術は「お礼の仕方」ひとつで露骨に差がつく。
「勉強になりました」は三流扱いになる理由
仕事の場では、アドバイスの後の反応に3つのパターンがある。
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その場でお礼だけ言う人
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「本日ありがとうございました。勉強になりました」と定型文を送る人
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即行動を添えてお礼する人
ほとんどの人は②で“最低限クリアした”と思っている。しかし現実には、定型文メールは相手の記憶に残らない。“何もしないよりマシ”というレベルだ。
AIが完璧なビジネスメールを秒で作れる今、「丁寧な文章」の価値は下落している。
求められているのは、うまい言い回しではなく、「あなたが本気で動いた」という事実だ。
仕事ができる人は「やり切ってから」報告しない
多くの人が陥るのは、「全部やってから報告する」という考え方だ。
・本を読み終わったら感想を送ろう
・ツールを使いこなしてから報告しよう
これは遅い。相手の熱量は数日で冷める。
できる人は、お礼に“着手の一歩”をセットにする。
「おすすめいただいた本、帰りの電車で注文しました!」
「教えていただいたツール、アカウント作りました!」
たったこれだけでいい。完璧はいらない。動いた事実さえ示せれば、相手は“この人は本気だ”と受け取る。
アドバイスした側にとっては、自分の言葉で相手が即動いたという事実こそが最大の報酬なのだ。
AIには不可能な、人間だけの武器
この“早い一歩”がなぜ強いか。理由は単純で、人間心理の核にある「返報性」を発動させるからだ。
AIはいくら完璧に答えても「こいつのために一肌脱ごう」とは思わない。だが、人間は違う。
・即反応
・即行動
・即感謝
これを見せられた相手は、本能的に「この人を応援したい」と思う。
これが“可愛げ”の正体だ。
AIが正解を出し、人間の差別化がどんどん難しくなる時代、人が“チャンスをくれる”スイッチを押せるかどうかが、キャリアの明暗を分ける。
「お礼の速さ」は能力ではなく意思
スキル不足で悩む必要はない。今日からできるのは、たった2つだ。
・お礼を即返す
・動いた一歩目を即伝える
記事を教えてもらったら、その場で開き、刺さった部分を送る。
飲食店を紹介されたら、Googleマップに保存して「来週行きます」と伝える。
この小さな積み重ねは、AIが絶対に真似できない。そして、気づいた人からチャンスを先取りしていく。
AI時代に必要なのは、器用な言葉でも、高度なスキルでもない。
一歩目の速さと、相手の胸を打つ“可愛げ”だ。
それが、あなたのキャリアを伸ばし続ける最強の武器になる。