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バイオプラスチックの現状と課題 PART2

いらっしゃいませ!

本日は、前回の続きを踏まえバイオプラスチックのPART2をお伝えいたします。

簡単に前回のおさらいです

■バイオプラスチック:生分解性プラスチックと、バイオマスプラスチックの総称

■生分解性プラスチック:現状の自然環境中での速やかな分解は期待できない。

■技術的問題だけでなく定義の問題や

そもそも既存のプラスチック業界にも大きな影響を与えるなどの、

トレードオフが発生する可能性がある。

詳しくは前回のブログ内容をご確認ください。

バイオプラスチックの現状と課題

それでは、行ってみましょう!

消費者が誤解してしまう?

「バイオプラスチック」と称した容器類も最近では多く出回るようになりましたが、

「生分解性」「バイオ」という名称が独り歩きして、消費者を戸惑わせる懸念があります。

生分解性プラスチックは、自然に戻るプラスチックの機能を示すのだが、

その原料がバイオマス(生物資源)でなくとも構わない

生分解性のプラスチックであれば、

原料が植物であれ石油であれ、バイオプラスチックと呼ばれる。

ただ石油由来の生分解性プラスチックとはどういうことなのか・・・

植物で作られていれば、すべて生分解性であると誤解してしまうのだが、

むしろ、バイオマスプラスチックであっても生分解性でない方が多いといわれています。

消費者に誤解を生む原因の一つが下記の内容と考えられます。

その理由は、日本バイオプラスチック協会の

バイオマスプラスチックの認定基準が曖昧であることだ。

認定基準によるとバイオマスプラスチック度が25%以上となっています。

つまり、バイオマスプラスチックの含有量が25%以上であれば、

他の部分が石油由来のプラスチックであっても、

その製品はバイオマスプラスチックと名乗ることができる。

2020年7月からのレジ袋有料化についても関連してくるだろう。

要は、レジ袋の削減とは言え25%のバイオマスプラスチックを使用すれば、

有料化にはならないということだ。

(過去ブログをご参照ください。)

エコバックに待った!?レジ袋有料化の本当の目的とは?

個人的にはバイオマスプラスチックを地球温暖化対策の観点から普及させるのであれば、

認定基準は25%ではなく、最低でも5割以上に設定する必要があるのではないかと考えています。

さらに、SDGsの「饑餓をゼロにする」という視点からは、

食料と競合しないなどの基準も加える必要があるだろう。

バイオプラスチック生産のために農地をバイオマス栽培に切り替えると、

現状の食料の総量が不足する可能性がある。

現状のプラスチックリサイクルの弊害になる可能性

まだ種類は少ないですが、

海洋生分解性プラスチックと呼ばれる海で分解するプラスチックも開発されました。

例えば、セブンイレブン・ジャパンの一部店舗のストローにも導入され、

海洋プラスチック汚染の解決策の1つとして注目されています。

しかし、前回の内容の通り海洋生分解性プラスチックとはいえ、

海中ですぐに溶けてなくなるわけではありません。

基準である海水中(30℃)で6ヶ月以内に生分解度が90%以上になるとはいえ、

完全に分解するまでの間は海洋生物に被害をもたらす。

しかも、製品に使用された添加剤や海洋生分解性プラスチックと一緒にゴミが出ては、

海水を汚染するのは想像できると思います。

意図せず海に落ちた場合は、生分解性であることが役に立つこともあり得ます。

だからといって海洋投棄を前提に話をしては意味がない。

自然分解するとはいえ、土壌環境で分解するものであれ、水環境で分解するものであれ、

生分解性プラスチックが大幅に増産されるならば、

汎用プラスチックと一緒に回収された場合でも、分離できる技術を開発する必要があるだろう。

現行のプラスチックリサイクルシステムに生分解性プラスチックが混入すると、

リサイクルを阻害する可能性がある。

分別レベルが落ちることで発生する単一原料による製品の安定化に影響するということです。

現行のプラスチックリサイクルとの兼ね合いも今後の課題になっていくでしょう。

生分解性プラスチックとの共存をするには?

現状の話をすれば、生分解性プラスチックはまだ発展途上の技術であり、用途も効果も限定的です。

消費者にも誤解を与えたままにしてしまうと、

生分解性と書かれているプラスチックは野外に放置しても数週間も経てば自然に還るとされ、

ポイ捨て、さらには不法投棄を引き起こすことも考えなければならない。

万が一遺棄された場合であっても何らかの自然環境による条件が誘発され、

自然分解がすぐに実行される。

研究者の方は素晴らしい研究も進められています。

しかし、消費する我々が現状で緩めていてはいけないのはご承知の通りと思います。

本業界のプラスチックによる環境汚染は日々深刻さを増し、

ニュースでも取り上げられてしまい、ある意味「標的」をなっています。

石油からできるプラスチックは地球温暖化も誘発する。

そんな中、私たちは持続可能な暮らしへの速やかな転換を迫られているのだが、

どのように解決できるだろう?

いま最も大事なことは、ただの使い捨て習慣からの脱却であり、

リユース社会の構築し、

「今ある資源を有効活用し世界を回していく」ことが必要なのではないでしょうか。

次回予告!

いかがでしたでしょうか。

バイオプラスチックの中でも、

特に皆様に関係があるであろう生分解性プラスチックのご紹介をさせていただきました。

技術的には少しずつ進歩しているとはいえ、

結局は使用する消費者の皆様にもご理解をいただいた上で、活用していくことが大切です。

できる限りわかりやすくお伝えしているつもりではありますが、

慣れない言葉や表現で分かりにくい箇所があれば、ぜひご一報ください。

私も改善に努めて参ります。

さて、

次回ですがSDGsについて前回の基礎編から少し掘り下げた内容をお伝えしていこうと思います。

それでは、いってらっしゃい!

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