決算書を読み込もう!
早速ですが、中小企業の管理部門の方に質問です!!
決算書を読み込んでいますでしょうか?
決算作業は税理士に任せて、過去の決算を顧みることを怠っていないでしょうか?
過去の決算から自社をさらに理解し、例えば節税やどの部門に予算を多く使っているかなど、
会社の体質を見極めるうえでも重要です。
12月決算の会社もある中で、決算書ができ始めたころだと思います。
決算書には会社の経営状況に関する大事な情報が記載されています。
決算書を読み解けば、自分の会社だけではなく、同業他社の経営状況も知ることができます。
今回は、決算書の読み方についてお伝えしていきます。
少なくとも自社の決算くらいはしっかりと把握しておきましょう!
決算書は大きく5つの項目に分かれる
決算書には大きく5つの項目があるのですが、
基本の内容は簡略しまして、各項目における大きなチェックポイントをお伝えします。
①貸借対照表
自社の貸借対照表の資産の部の現預金の合計額と、
負債の部の借入金の合計額とを比べてみてください。
現預金のほうが上回っている場合は、
借入金を直ぐにでも返済できる優良会社ということになります。
この2つを見比べた場合の比率のことを現金預金対借入金比率と呼び、
当比率が30%を超えると倒産する可能性が低い会社であるとされています。
貸借対照表からは会社の安定性を求めることもできます。
流動資産を流動負債で割って算出する「流動比率」が100%以上である場合は、
1年以内の倒産の可能性は僅かであることになります。(流動負債&流動負債は1年内に現金化できる)
②損益計算書
税引前当期純利益が前年度比増となっているにも関わらず、
営業利益が前年度比減となっている場合には注意が必要です。
この場合は、本業の儲けの減少分を、
固定資産の売却などにより埋め合わせをしたことが考えられます。
つまり、本業の儲けが前年よりも減っているということです。
会社の成長性は「経常利益成長率」によって求めます。
今期の経常利益から前期の経常利益を引いて、
そこから前期経常利益を割って求めることになります。
この値がプラスの数値となり、その率が高い場合には、利益が前年度比増となります。
マイナスとなった場合は成長していないことになります。
➂株主資本等変動計算書
資本金や利益剰余金など、貸借対照表の純資産の部の各項目の期間中の変動額を抜き出し、
その変動の理由を表示するために用意された書類です。
会社の利益の処分先と、利益の処分方法による経営者や株主の考えを読み取ることができます。
こちらは中小企業にとってはあまり、見受けられない内容かと思いますが、
例えば株式投資等をされている個人の方は、本決算書を見ておいて損はないかと思います。
④キャッシュフロー計算書
中小企業にとって、現金の有無の確認は必須です。
キャッシュフロー計算書には、おおきく3つの項目があります。
■営業キャッシュフローは本業の現金の増減を表すカテゴリー。
営業キャッシュフローの最終的な数値が正であれば、本業利益が上がっていることを示します。
中小零細は営業キャッシュフローがキモになるでしょう!
■投資キャッシュフローは、固定資産や投資有価証券の売買による現金の増減です。
このカテゴリーの最終的な数値がマイナスであることもプラスの評価として捉えることができます。
将来に見据えて、投資をしている段階のためです。(事業規模と相談したほうが吉)
■財務キャッシュフローは借入金に関する現金の増減です。
借入金を調達した場合にはプラスとなり、返済した場合にはマイナスとなりますので、
最終数値がマイナスとなっている場合は堅実に返済を行っていることになります。
一般的には
営業キャッシュフロー(+):投資キャッシュフロー(+or-):財務キャッシュフロー(-)
状況にもよりますが、上記が安定しているキャッシュフロー計算書ともいえそうです。
金融機関と税務署の視点
決算書は会社の1年の成績書と言われています。
その成績をもとに、金融機関や税務署はその企業を評価しています。
では、各所どのようなポイントを見ているのか考えてみましょう。
①金融機関の視点
金融機関は決算書を融資可否判断をメインに行います。
融資が焦げ付かないように、決算書を用いて会社の将来性や安定性をチェックするためです。
主に貸借対照表の現預金残高や借入残額、固定資産などをチェックしますが、
貸借対照表を用いて算出する「自己資本比率」も重要なチェック項目としています。
自己資本比率:
総資本(負債の部と純資産の部の合算額)を自己資本(純資産の部の合計額)で割って求める割合
※一般的に自己資本比率が40%以上ある場合には安定性があり健全な会社であると判断しています。
損益計算書では、営業利益を特に重要視します。
営業利益が前年度比増であるほど、安定性があり将来性があると判断できるからです。
本業の利益が伸びていれば、融資の未回収などのリスクを下げることができます。
②税務署の視点
税務署では会社が適正に税金を算出しているかという視点で見ています。
税金は利益に比例して増減しますので、
売上と原価の計上額や計上時期、そして利益の算出方法については厳密に調査します。
■具体的には、今期の売上として計上すべきものを来期の売上として計上していないか
■来期の原価を今期の原価として計上していないかなどを見ています。
要は、期をまたいで仕入れや売上などを計上することによって、
利益操作ができてしまい、
税金をただしく回収できず、故意であれば脱税に繋がる可能性もあります。
仮に、税務調査の際に売上や原価の計上時期を間違っていると判断された場合には、
加算税や延滞税を支払うことになります。
※税法に則った方法で売上を減らし原価を増やすことで利益を減らし、
税金も減らすことに繋がる節税対策があります。
税金が高いという声もあり、各社節税等による運営をしていることも多いと思います。
節税方法については、本ブログでは取り扱いませんが、
気になる方は答えられる範囲で回答します!!
会社の成績書と言える決算書について、管理部門の方は理解しておいたほうが良いでしょう。
私も決算書がある程度見えるようになってからは、業界分析にも使いますし、
株式投資等における上場企業の決算書を読むようになりました。
正確ではないかもしれませんが、例えば業界における動向や仮設を立てるうえで役に立っています。
改めて、自社の決算書を読み込んでみるのはいかがでしょうか。